口の中のできものである良性腫瘍や癌は口腔内の歯肉、舌、頬の粘膜、顎の骨中など様々な場所にできることがあります。小さいうちに早期発見された場合は問題ないですが、痛みなどの症状がない状態で大きくなることもあるので、定期的な検診が重要となります。
粘液嚢胞
口腔内の口唇や、粘膜には小さな唾液を作る工場がたくさんあります。この工場から唾液を出すための管が出ていますが、これを咬んだりして傷つけてしまうと、唾液が外へと出られなくなり、その場に貯留してしまいます。これが袋状になったものが粘液嚢胞です。小さいものは自然と消えることもあるため様子をみることもありますが、何回も再発するものや、日常生活に支障が出るような大きなものは取り除く必要があります。当院では外来にて安全に処置することが可能です。
口腔癌
小さいものであれば手術で取り除くことができ、転移の可能性も低いため早期発見が重要です。できものの一部を採取して、顕微鏡で観察することで確定診断を行うため、当院でこれが疑われた場合は、提携先の病院へご紹介させていただきます。
骨の中の膿の袋(膿瘍、嚢胞)
膿瘍
組織の中に膿が溜まった状態のことをいいます。虫歯や歯周病などが原因で感染・炎症が起き、できる場合が多いです。
嚢胞
体の中に生じた病的な袋状のものをいいます。口腔領域では、顎骨内にできるもの、軟組織にできるものがあります。
【歯根嚢胞】
虫歯が進行すると歯髄に感染が起こり、それが根の尖端に及ぶと根尖性歯周炎が生じます。それが慢性化して、周囲の組織を刺激することで歯根嚢胞となります。
- 治療
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根管治療(歯の根の治療)で治癒することもあります。根管治療が奏功しない場合、歯肉に小さな穴をあけて外側から嚢胞を摘出する(歯根端切除術)場合もあります。
【含歯性嚢胞】
歯の原基(歯が発生する組織)の上皮から生じる嚢胞です。その嚢胞腔内に埋伏歯(親知らず)の歯冠を含んでいることが多いです。無症状で経過するため、レントゲンで偶然発見されることが多いです。
- 治療
- 嚢胞の摘出と原因歯の抜歯を行います。
口内炎、舌の痛み
口内炎
身体的な疲労により免疫力が低下した際や、口腔内の刺激により起こることがあります。通常は1週間程で治りますが、中には治癒が遅く、痛みが強く出る場合もあります。
その場合は、塗り薬やレーザーで表面を焼灼することで改善します。
舌の痛み(舌痛症)
舌に色、形態、機能などの器質的変化がなく、臨床検査でも特に異常が認められないにも関わらず、舌がピリピリするなどの持続的な自発痛が生じることがあります。歯垢や歯石など歯科的な刺激因子により起こることもありますが、明らかな原因が無く、精神的な不安などにより生じることもあります。他の疾患との鑑別が必要になるため、何か気にかかることがあればすぐにご相談ください。