誤嚥性肺炎とは?~ある日突然食事が出来なくなるかも!摂食嚥下障害と誤嚥性肺炎の関係・検査法~
- 2024年1月15日
- 歯科
誤嚥性肺炎の怖さとは?
私は訪問診療のため、患者さんの居宅や介護施設、そして提携病院へとお伺いしているのですが、患者さんの中に誤嚥性肺炎により、入院されたり、口から食事が出来なくなったり、最悪の場合お亡くなりになってしまう方を少なからず目にしてきました。
高齢者の患者さんには、つい先日までお元気だった方が、長期入院で急激に弱られてしまう方が多いです。
「あの人が!?」
と思うことが多いです。
誤嚥性肺炎とは?
それでは誤嚥性肺炎とはどういったものなのでしょうか?
誤嚥性肺炎とは、唾液や食事などが、嚥下機能の低下等により誤って気管(肺)に入ってしまい、そこから細菌が肺で炎症を起こして肺炎を引き起こす病気です。
現在日本における死因の第5位が肺炎ですが、誤嚥性肺炎はその中でも多くの割合を占めています。
出典:令和元年(2019) 人口動態統計月報年計(概数) 厚生労働省
誤嚥性肺炎が起こる理由
ではどうしてこのようなことが起きるのでしょうか?
これが起きるのには、本当に様々な要因が関係していて、何か1つが原因というわけではありません。脳梗塞、脳卒中、パーキンソン症候群、そして認知症などが原因で、食事をとる際の様々な動作が障害され、結果食事を誤嚥してしまうのです。(食事の認知、咀嚼、嚥下、胃からの逆流など)
また、こうした疾患でなくても、加齢などにより、飲み込むための筋肉量が低下したり、歯が無くなったり、入れ歯が合っていないことで咀嚼が上手くできないことが原因でも誤嚥は起こりえます。
つまり誰にでも起こりえる疾患なのです!
誤嚥性肺炎の予防法とは?
しかし、ただ誤嚥するかしないかだけでは肺炎のリスクはわかりません!
個々の患者さんの免疫力や、誤嚥したものに付着している細菌の数等色々な要因が関係してきます。
体の免疫力はすぐには変えられませんが、誤嚥したものに付着している細菌の数は、口の中のお掃除=口腔ケアで比較的簡単に減らすことができます。最近の研究では、様々な理由で入院中の患者さんに対して専門的口腔ケア(歯科医師や歯科衛生士が行う口腔ケア)を行った場合、入院日数が減ることがわかっています。
出典:「大阪警察病院における周術期口腔ケアの効果に関する検討」
また、しっかりと噛めることは、安定した嚥下にも繋がります。なので、普段からお口のケアを行うことが健康への近道となります!
誤嚥性肺炎の検査法は?
それではどのようにして検査を行えばよいのでしょうか?
改訂水飲みテストや反復嚥下テスト等色々なテストがありますが、これらはスクリーニングのテストであり、確定診断は難しくなっています。
確実な検査としては、嚥下内視鏡検査(VE)、嚥下造影検査(VF)等があります。
VFに関しては装置の持ち運びが難しく、検査可能な場所が限られます。
VEは持ち運びが簡単で、患者さんの居宅でも検査可能であり、ベッドサイドでも検査が可能であるため最近では良く用いられる検査です。直径3㎜程の管状のカメラを鼻腔から挿入して、嚥下の状態を直接確認する検査であり、習熟した術者であれば、かなりの精度で検査を行うことができます。
検査の結果、嚥下のどの部分に障害があるかのか?
経口摂取が可能かどうか?
等が判断でき、そこからその患者さんに合わせた訓練や介助を行っていくことができます。
現在のような高齢者社会では今後ますます誤嚥性肺炎が増えていくと考えられます。そうならないためにも、今からしっかりと備えていきたいですね!